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小松市・十二ヶ滝訪問記

写真撮影・平成28年6月
記事作成・平成28年8月
「数字地形名」コレクションの協賛企画です。

HP「都道府県市区町村」の地名コレクションのコーナーの1つに「数字地形名」コレクションというものがあります。十一から百までの数字を含む地形名を集めたもので、ネットの主な地図サイトに出ている当該地名はおおむね収録されています。ただ、地図サイトの方も記載される地名が徐々に追加されているため、しばらく間をおくとコレクション未収録の地名がポロッと見つかる、なんて事があります。
で、実は平成28年に入った頃に石川県内にそういう地名があることに気付きました。それが今回ご紹介する小松市の十二ヶ滝。本稿を書いている時点では、この滝の名が記載されている地図サイトはGoogleMapのみなのですが、ネットで調べてみた限りではけっこう良い感じの滝のようでした。すぐにでも見に行きたかったのですが、年度末・年度頭は何かと忙しかったため、新年度もある程度経ってちょっと落ち着いた頃の訪問となりました。

寄り道パーキング布橋十二ヶ滝

十二ヶ滝のある場所は小松市の山あいを走る国道416号線の沿線。小松市の中心部方向からかつて銅山のあった尾小屋町に向けて国道を走っていくと、途中で次のような標識が見えてきます。

(写真1・上)「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の案内標識 (写真1・下)「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の案内標識(拡大)

(写真1)「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の案内標識。(撮影ポイント)
国道416号線を金平町付近まで走ってくると、真新しい案内標識が建っているのが目に飛び込んできます。この標識が建っているのはだいたいこの辺りなのですが、当該位置のストリートビューには標識が写っていないことから、標識が建てられたのは少なくとも平成24年10月より後であることが分かります。
それから、「布橋十二ヶ滝」の「布橋」は滝がある場所の町名です。ネット検索で引っ掛かってくるのはほぼ「十二ヶ滝」なので、こっちが一般的に通用している名称で間違いないと思います。じゃあ何でわざわざ所在地である「布橋」を関してあるのかですが…よく分かりません。この「寄り道パーキング」というのは北陸新幹線の開業に合わせて石川県が加賀能登の「地域の人のみが知っていたような風光明媚なビューポイント」に整備したものなのですが、名称が「ビューポイントの地名そのもの」のものもあるので、ここが「布橋」を冠している理由がいよいよ謎なのです。もしかすると、今後の候補地に十二ヶ滝とよく似た地名があったのかもしれませんが…???
まぁそれはさておいて、先に進むとしましょう。

(写真2)寄り道パーキング布橋十二ヶ滝

(写真2)寄り道パーキング布橋十二ヶ滝。(撮影ポイント)
駐車場の全景を写そうと思ったらフェンス越しでしか写せなかったため分かりづらいですが、駐車スペースは普通車16台+大型車1台分あり、結構広いです。

(写真3・上)南側の「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の案内標識 (写真3・下)南側の「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の案内標識(表側から)

(写真3)南側の「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の案内標識。(撮影ポイント)
南側にもパーキング入り口の案内標識があります。パーキングの西側には田んぼが広がっています。
説明板らしきものが2つ立っていますね…

(写真4・上)「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の説明板 (写真4・上)「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の説明板(拡大) (写真4・下)「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の説明板(十二ヶ滝の説明部分を更に拡大)

(写真4)「寄り道パーキング布橋十二ヶ滝」の説明板。(撮影ポイント)
まずは新しそうな案内板の方から。案内板のほとんどの面積は地図と近隣の施設・ビューポイントのの説明で、その下に十二ヶ滝の説明がちょこっと。
落差4m、幅36mで、名前が「十二ヶ滝」な訳は流れが12本に別れて落ちているから…ですか。

十二ヶ滝へ

(写真5)十二ヶ滝へと向かう階段の上

(写真5)十二ヶ滝へと向かう階段の上。(撮影ポイント)
駐車場から十二ヶ滝へは階段を下りていきますが、降り口にはもう1つの説明板と、そして石碑(?)。これらの後ろに生えているのは…桜の樹ですね。花の時期に来ると綺麗なんだろうなぁ。

(写真6・上)「西尾元気の里西尾八景 四季の移ろい十二ヶ滝」の説明板(拡大) (写真6・下)「西尾元気の里西尾八景 四季の移ろい十二ヶ滝」の説明板(十二ヶ滝の説明部分を更に拡大)

(写真6)「西尾元気の里西尾八景 四季の移ろい十二ヶ滝」の説明板(拡大)。(撮影ポイント)
こちらは十二ヶ滝の説明が中心に書かれており、十二ヶ滝のある川の名前が郷谷川であること、昔は更に高い落差があったことが分かります。そして、5月頃には滝の上に鯉のぼりが飾られる旨書かれていますが、この写真を撮影した6月中旬にはもう片付けられていました。

(写真7)「西尾元気の里西尾八景 四季の移ろい十二ヶ滝」の石碑

(写真7)「西尾元気の里西尾八景 四季の移ろい十二ヶ滝」の石碑。(撮影ポイントは写真6とほぼ同じ)
説明板の横にはこのような石碑もあります。この「西尾八景」については後述。
ちなみに、現在はこの石碑の向かって左手に説明板が立っていますが、ストリートビューを見ると立ち寄りパーキング整備以前は石碑の向かって右手に説明板があった模様。

(写真8)十二ヶ滝(階段の途中から撮影)

(写真8)十二ヶ滝(階段の途中から撮影)。(撮影ポイント)
ここからでも滝の全体像は大体目に入ります…が、流れが10本しか見えない…ような気がします。

(写真9)十二ヶ滝(川原から撮影)

(写真9)十二ヶ滝(階段の途中から撮影)。(撮影ポイント)
川原まで下りてきました。ここからでも流れが10本しか無いな気がしますが…

(写真10・上)十二ヶ滝に更に接近 (写真10・下)十二ヶ滝に更に接近(中央部分を拡大)

(写真10)十二ヶ滝に更に接近。(撮影ポイント)
更に接近してみてみると、滝の中央部分…下の写真の矢印で示した部分にほそーいながれが2本あるのを発見。これらを入れれば確かに流れは12本になります。もうちょっと水量が多いとはっきりするのでしょうか。
(ネット上で十二ヶ滝を紹介しているサイトを見てみるとかなり水量が多いときの写真も見受けられるのですが、あまり水量が多すぎるといくつかの流れが繋がってしまいこれまた12本に見えないという…なかなかタイミングが難しいようです)

(写真11)郷谷川の下流方向

(写真11)郷谷川の下流方向。(撮影ポイントは写真9とほぼ同じ)
十二ヶ滝から下流の郷谷川はこんな感じ。けっこう大きな石も転がっており、川の流れの勢いを感じます。ちなみに、ここから3kmほど先で郷谷川は大杉谷川と合流し、「梯川(かけはしがわ)」と名を変えて日本海へと向かうことになります。

十二ヶ滝を上から見る

(写真12)十二ヶ滝と立ち寄りパーキングの間の階段(下から撮影)

(写真12)十二ヶ滝と立ち寄りパーキングの間の階段(下から撮影)。(撮影ポイント)
今度は十二ヶ滝を上から見るために国道に向かいます。階段から見上げると、駐車場までそこそこの高さがあることが実感できます。

(写真13)上から見た十二ヶ滝

(写真13)上から見た十二ヶ滝。(撮影ポイント)
十二ヶ滝を上からところ。下からの写真…特に写真8、9…でも滝の上にちょっと飛び出たものがあるのが移っていた訳ですが、こっちから見ると何者かがはっきり分かります。実は、滝のすぐ上に用水を取水するための堰が作られていたのでした。一応、滝の水量や景観に大きな影響が出ないように作られているようですが、堰が無い頃はどんな感じだったのかなぁ…と思わないでも無いです。
そして滝の上の岩盤には別れた流れが削り取った溝が見て取れます。この溝の本数を数えれば主な流れの本数が確定できそうな気もしますが…堰の上を歩かないと数えるのが難しいのでパス。

(写真14)郷谷川の上流方向

(写真14)郷谷川の上流方向。(撮影ポイントは写真13とほぼ同じ)
滝から上の郷谷川は凄くゆったりした感じで流れていました。でも、こちらも堰ができる前はどうだったのかが気になるところです。

(写真15・上)「ようこそ 西尾元気の里へ」の案内板 (写真15・上)「ようこそ 西尾元気の里へ」の案内板(西尾八景の拡大) (写真15・下)「ようこそ 西尾元気の里へ」の案内板(西俣大滝の拡大)

(写真15)「ようこそ 西尾元気の里へ」の案内板。(撮影ポイント)
十二ヶ滝のちょっと上の国道沿いにこんな案内板が建っています。「西尾」というのは明治時代の村名に由来するこの付近の地区名で、十二ヶ滝を含む地区内の景観地8つが「西尾八景」として紹介されています。そして、他の八景を見ていくと気になるものがあるのが目に入りました。それは西俣町の大滝。地名コレクションには「大滝」コレクションもあるのですが、この西俣町の大滝は未収録。と言うのも、この大滝は国土地理院の地図やネット上の地図サイトには全く記載されていないため。時間が取れれば現地に行ってきて写真を撮ってきたいところですが、ネットで情報を集めたところ大滝の近くに行くためには未舗装の林道を入っていく必要があり、しかも周辺の状況もあまり良くないらしく…ちょっと思案のしどころです。

おまけ・5月に十二ヶ滝に来ると…

最後は別の地名の話になってしまいましたが、以上が6月に訪問したときの様子。実は、5月にも十二ヶ滝に行っているのですが、ちょっと思うところあって再訪した6月の写真を紹介する事としました。でもせっかくなので1枚だけ5月の写真をご紹介します。

(写真16)5月の十二ヶ滝

(写真16)5月の十二ヶ滝。(撮影ポイント)前述の通り、5月は滝の上に鯉のぼりが泳いでいる訳ですが、これを見物する人がけっこう来ており、十二ヶ滝をどう写しても人が入ってしまうためしばらく間をおいて再訪した次第。桜の時期も綺麗なのでしょうが、やっぱり人が多そう。
ただ、良い時期に人が来ているということは、小松市内では景観地として知られている…という事かな、と思います。これが石川県内レベルになるとまだまだだと思うのですが、立ち寄りパーキングが整備されたことにより今後知名度が上がっていくのかもしれません。