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下関市・満珠干珠遠望記

写真撮影・平成19年11月
記事作成・平成28年5月
「希少地名(一般)」コレクションの協賛企画です。

まず、遠望記っちゃ何け?と言うことなのですが…どうしても目標地点そのものの場所には近づけない、と言う場合は多々ありますが、今回は目標地点から1km以上離れたところで眺めただけなんですよね。せめて100m以内に近づけてれば「訪問記」にするところなのですが、今回は余りに遠いと言うことで「遠望記」、と言うことで…。
さて本題。平成19年に落書き帳オフ会が福岡県福岡市が開かれました。せっかく遠くに行くのだからオフ会にプラスアルファしてどこかに行きたいなぁ、と思いまして、オフ会翌日に下関に行くことにしました。下関を選んだ理由は、山口県がそれまで通過のみであったことと、旅行会社のフリーツアーパックを使って行ったため帰りの新幹線の乗車駅が博多か小倉に限られていたため。下関では下関駅付近の神社散策→住吉神社→長府付近散策→赤間神宮〜彦島間を行ったり来たりしたのちに一泊しています(翌朝は関門トンネル人道、赤間神宮に行った後、船で門司港に向かいました)。そのうちの長府付近では忌宮神社→乃木神社→功山寺→豊功神社と寺社巡りをしてたのですが、本稿はそのうちの豊功神社での出来事をまとめたものです。

豊功神社の「満珠干珠展望台」

豊功神社は国道2号線から海よりに入ったところにあります。場所としてはちょっと高い岬の上。参道を進み、開けた境内に入るとあるものが目に入りました。

(写真1)豊功神社の「満珠干珠展望台」

(写真1)豊功神社の「満珠干珠展望台」。(撮影ポイント、以降の写真もほぼ同位置で撮影)
境内の一角に「満珠干珠展望台」と書かれた標柱が建っていました。そしてその向こうに見えるは2つの島。

(写真2)満珠干珠

(写真2)満珠干珠。
沖に見える2つの島が満珠と干珠。これらは、地名コレクションでは「希少地名(一般)」コレクションに掲載されています。このコレクション、「地形を表す名詞が付かなかったり、他に見ない特殊な名詞で示されている」ような地名を集めたもので、本件の場合は「島なのに島と付かない」事例。
手前の島は神社から1kmほど沖にあり、右手の岩礁に向けて砂州が延びています。億の島は神社からは3kmほど沖で、丸っこい形?で灯台が建っている。この灯台を除くと、人が上陸していると思わせるものは見受けられません。

(写真3)豊功神社の「満珠干珠展望台」その2

(写真3)豊功神社の「満珠干珠展望台」その2。
再び満珠干珠展望台の写真。これだと神社の境内だと分かるかな?よくよく見ると展望台の片隅に説明板らしきものがあったのですが、当日はこれに気付いていませんでした。気付いていればアップの写真を撮ってきたところなのですが…。

(写真4)満珠干珠とその周囲の風景

(写真4)満珠干珠とその周囲の風景。
満珠干珠と神社の間には定置網が見えました。また、当日は天気が良く、対岸まで見渡すことができました。

(写真5)豊功神社の対岸

(写真5)豊功神社の対岸。
対岸にはでっかい煙突も見えました。当日は方向をよく把握していなかったため対岸がどこなのか分かっていなかったのですが、本稿をまとめるにあたり確認したところ、見えていたのは山陽小野田市。写真で映っている位置はこの辺りで、煙突は新小野田発電所のものでした。
満珠干珠は湾内に浮かんでいる島、と言うことになる訳ですね。
とまぁ、満珠干珠の写真を撮って満足したのですが、この時にうっかり忘れ物をしています。実は私、神社を参拝すると必ず拝殿の写真を撮ってきているのですが、満珠干珠の写真を撮ることに気を取られて豊功神社の拝殿の写真を撮ってくるのを忘れてしまっています。これは、もう一回行くようにという事なんでしょうな。石川県からはおいそれと行けるところではないのですが…

満珠干珠についての補足

さて、気になるのは満珠干珠の名前の由来。ネットで調べたところ、神功皇后が住吉大神の化身である竜神から授けられた潮満珠(しおみつるたま)と潮干珠(しおひるたま)がが島になったものが満珠と干珠であるという伝説があるようです。そして、その伝説の関係で満珠干珠は忌宮神社(祭神が仲哀天皇・神功皇后)の神域となっているとのこと。(参考:忌宮神社公式HPより)そして、伝説の2つの珠と同一に見られていた事から「満珠・干珠」と島が付かない呼び方をされていたのかな、と思われました。
ところが、更に調べていると悩ましいことが判明。地図を見るとこのように「満珠島」「干珠島」と書いてある。念のため国土地理院HPで古い地形図も確認しましたが、少なくとも昭和26年の版には既に「満珠島」「干珠島」と書いてあったようです(それより前の版は解像度の関係で判読できず)。これは地名コレクション的には悩ましい事でして、例えば「佐渡島」は「佐渡」と呼ばれることも多いのですけれども正式名称は島の付く方なので希少地名の採用基準としては×。それから考えると単独の島の名としては×という事になってしまいます。ただし、ネットで調べた中には「元々どちらが満珠でどちらが干珠なのかはっきりしていなかった」というような事が書かれている所もあり、2島1組で「満珠・干珠」という名前だったと捉えることもできそうです(忌宮神社HPでの表現もそれっぽい)。なのでとりあえずコレクションの方はそのままにしておきたいと思うのですが…希少地名系のコレクション、調べていくと黒に近いグレーゾーンな地名がまだ出てくるんだろうなぁ…